今日からドラマ「わたし、定時で帰ります」が始まりましたね。
昨今では漫画原作のドラマが多いですが、この「わたし、定時で帰ります」は同タイトルの小説が原作です。
正直、「いやいや、ただキャッチーなタイトルなだけで内容はドタバタコメディとかでしょ」と思っていましたが、全然そんなとこはなく、現代社会に向けられた社会派小説でした!
今回はこの原作小説について、紹介していきたいと思います。
あらすじ
主人公・東山結衣(吉高由里子)はWEB制作会社で働くディレクター。過去のトラウマから入社以来、残業ゼロ生活を貫いてきた。
だが新任の部長が赴任したことをきっかけに、結衣の前に曲者社員たちが立ちはだかる。曲者たちが抱える様々な問題に、結衣はどう立ち向かうのか──?
我々のような仕事を頑張りたくない民草にとっては、大変心温まるドラマのように見えますね。
これだけ見るとドタバタコメディに見えなくもないですが、原作小説は「頑張って働くことは美徳なのか?」「仕事は死ぬ気でやるべきものなのか?」という観点でかなり切り込んでいます。
「わたしたち、定時で帰ります」
あらすじからも分かるように、上司・同僚はうんざりするほどのワーカーホリックたちです。
抱えている案件が炎上してしまったが故、死ぬ気で働きます。
そんな上司・同僚たちを横目に主人公はそんなこと御構い無しに帰る……というわけにもいかず、だんだん残業強制されるようになります。
さて、ここで残業をしてしまうのはシロウトというものです。主人公はそんな中で、嘘を吐いてでも周囲を説得し、みんなで定時で帰ろうとします。
そう。「わたし、定時で帰ります」は「わたし」だけでなく、「わたしたち、定時で帰ります」を目的としたお話なんです。
読んでいて、自分ひとりだけ定時で帰るのは非常に簡単ですが、みんなで定時に帰るとなるととんでもない労力を伴う…というのが現代社会なのかと思い知らされたました。
みんなで帰るために段々と残業をし始める主人公を見ていると、「働くこと」自体が悪な気持ちがしてきます。
「死ぬ気でやればいい」
作中で何度も発せられる言葉、「死ぬ気でやればいい」。
もちろん、会社なんかのために死ぬ気でやる必要なんてありません。でも追い詰められた人間はみんな揃って、「死ぬ気でやればいい」と言います。
それは仕事が命だから…というだけでなく、仕事に対するプライドや家庭といったしがらみも原因のひとつです。
この小説では、そういったしがらみとどうやって向き合って自分を大切にしていくか、という点も描かれています。
読んでいて、仕事に対しての付き合い方を考えさせられる箇所が多数あります。現代のリーマンたちは一読する価値は必ずあります。
働く女性の在り方
主人公が女性ということもあり、働く女性についても言及されています。
形だけの女性躍進、育休・産休の印象、男女差別……男女平等を謳ってはいますが、未だに女性は社会で弱者の位置にいます。
それでも仕事を頑張りたい時、女性は仕事・家庭とどちらを選択するべきなのか。
婚約が決まった主人公や、ワーキングマザー、仕事命の女性、さまざまな視点から女性の働き方を見ていくことができます。
働く女性も仕事との付き合い方の参考になるので、ぜひ読んでみてください!
まとめ
働き方は、多様性が認められるべきです。
しかし、会社は責任がつきまとうために、「残業」を強制することがあります。
それをどう捉えるか、この小説では様々な視点から考え、解決へと向かっていこうとします。
もしも今後の働き方を考えている方がいたら、オススメの一冊です。ドラマだけでなく、小説もぜひ読んでみてください!